公開日:2026.4.15
「雪山を歩いてみたいけれど、道具を揃えるのは大変そう……」「スキーやスノーボードほど本格的じゃなくていい、もっと気軽に自然を感じたい」
そんな願いを叶えてくれるのが、標高1,500mを超えるスノーリゾート、長野県・志賀高原でのスノーシュー体験です。2026年3月も終わりに近づいた28日、春の足音が聞こえ始めた志賀高原を訪れると、そこにはまだ、眩しいほどの銀世界が広がっていました。
今回私が体験したのは、志賀高原自然保護センターの「冬の森探検コース」。
このコース最大の魅力は、なんといってもその「身軽さ」にあります。集合場所はバス停の目の前、さらにスノーシューとトレッキングポールのレンタルがついています。文字通り“手ぶら”で、静寂に包まれた冬の森へと漕ぎ出すことができるのです。
わずか2時間の行程で、日常の喧騒を忘れ、心身ともにリフレッシュできた「雪上さんぽ」の様子を登山ツアー(やまたび)添乗員の名迫が詳しくレポートします。
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アクセスと準備
スノーシュー体験において、意外とハードルになるのが「集合場所への移動」と「重い装備の準備」です。しかし、今回の「冬の森探検コース」はそのどちらも驚くほどスムーズでした。
集合場所の「志賀高原自然保護センター」は、志賀高原の交通の要所である「志賀高原山の駅」バス停の道路を挟んで向かい側にあります。長野駅からの急行バスや、エリア内を走るシャトルバスが発着する場所なので、車がない旅行者でも迷う心配がありません。建物内には暖かな休憩スペースやトイレも完備されており、体験前後の身支度も快適です。
本当に「手ぶら」でいい、レンタル込プラン。
このコースの嬉しいポイントは、大人6,000円という料金の中に、スノーシューとポールのレンタル料が含まれていること。「専用の道具なんて持っていないし、買うのはちょっと……」という初心者の方でも、動きやすい防寒着とスノーブーツ(または防水の登山靴)さえあれば、文字通り手ぶらで参加可能です。
1名から5名までの少人数制ということもあり、受付からオリエンテーションまでの流れはとてもアットホーム。ガイドさんの丁寧な説明を聞いているうちに、これから始まる森の冒険への期待がじわじわと高まってきます。
体験レポート
受付を済ませたら、いよいよ冬の森へと漕ぎ出します。ガイドさんの車に揺られること約5分。登山口に到着すると、そこには静寂に包まれた真っ白な世界が待っていました。
まずはガイドさんに教わりながら、スノーシューを装着。最初は少し足元の重さを感じますが、一歩踏み出すとその浮力に驚かされます。普通の靴ならズボッと沈んでしまう深い雪の上を、スイスイと歩ける感覚はスノーシューならではの快感です。
森の中に一歩足を踏み入れると、聞こえてくるのは「ギュッギュッ」という自分の足音と、時折鳴く野鳥の声だけ。3月末の陽光に照らされた雪原は、まるでダイヤモンドを撒き散らしたようにキラキラと輝いています。
今回のコースのハイライトは、志賀高原の豊かな自然を象徴する池巡りです。
三角池(みすみいけ)
雪を纏った木々に囲まれた幻想的な風景。
上ノ小池
夏場とは全く異なる、真っ白に結氷した静かな姿。
アップダウンが少ないコースなので、景色を眺める余裕もしっかりあります。ガイドさんから、雪の上に残された動物の足跡や、冬を越す植物たちの話を聞きながら歩く時間は、まさに「大人の知的好奇心」を満たしてくれるひとときです。
体験の締めくくりに訪れたのは、長池。そのほとりで、ガイドさんが温かいホットコーヒーを振る舞ってくれました。
目の前に広がるのは、一切の汚れがない見事な銀世界。キリッと冷えた空気の中で、湯気の立つコーヒーを一口。この絶景と温かさのコントラストは、2時間の行程を歩いた人だけが味わえる最高のご褒美です。心からリフレッシュされる、至福の時間が流れます。
休憩を終え、長池からすぐの「信州大学志賀自然教育園」まで歩いて今回のスノーシューイングは終了。再びガイドさんの運転で、集合場所の「山の駅」まで送り届けてもらいました。
歩行時間は約1時間30分。心地よい疲労感とともに、心はすっかり軽くなっていました。
なぜ、わずか2時間の体験でこれほどまでに心が軽くなるのでしょうか。実際に歩いてみて感じた、志賀高原ならではの「リフレッシュの秘密」を紐解きます。
志賀高原の森は、一歩奥へ入ると驚くほどの静けさに包まれます。雪には音を吸収する性質があるため、都会の喧騒はもちろん、スキー場のリフトの音さえも届かない「完全な無音」に近い瞬間が訪れます。スマホの通知を忘れ、自分の呼吸と雪を踏む音だけに集中する時間は、最高のマインドフルネス体験と言えるでしょう。
志賀高原はユネスコエコパークにも登録されている自然の宝庫です。特に3月末の澄み切った空気は、肺の奥まで洗われるような清涼感があります。深呼吸するたびに、体内の空気が入れ替わり、頭がスッキリと冴えわたっていくのを感じました。
見渡す限りの白、そして空の青。このシンプルな色彩の世界に身を置くことは、日頃PCやスマートフォンの多すぎる情報にさらされている目と脳を、優しく休ませてくれます。長池のほとりで眺めたあの真っ白な景色は、どんなビタミン剤よりも心を元気にしてくれるサプリメントでした。
まとめ
志賀高原の「冬の森探検コース」は、雪山の厳しさを一切感じさせることなく、その美しさと癒やしの力だけを存分に味わわせてくれる贅沢な体験でした。特に今回のような3月後半は、冬の真っ白な景色が残りつつも、日差しには春の温もりが混じる「スノーシューのシーズン」のひとつ。厳しい寒さに震えることなく、のんびりと森の息吹を感じたい方には、まさに理想的なタイミングと言えるでしょう。
「特別な準備はいらない。ただ、美しい雪の世界へ行ってみたい。」
そんな素直な気持ちを叶えてくれる志賀高原のスノーシュー。日々の忙しさをリセットしに、ぜひ一度、この静寂の森を訪れてみてください。