スタッフが実際に和歌山城に行って現地をレポートします。

和歌山城

公開日:2024.5.27

和歌山城外観

和歌山市のシンボル!和歌山城

和歌山観光、特に和歌山市内を巡るなら外せない観光スポットが和歌山城です。
天正13年(1585年)に紀州を平定した豊臣秀吉の命令により「吹上の峰(現在の虎伏山)」に城を築かせたのがこの城の始まりです。のちの慶長5年(1600年)、関ケ原の戦いで東軍に参加した浅野幸長が初代紀州藩主となり、近世の城として天守や本丸などの拡張工事にあたります。元和5年(1619年)に浅野氏から徳川頼宜に藩主に変わり、明治維新まで紀州徳川家の居城となりました。

和歌山城の駐車場

和歌山城を散策

今回はボランティアガイドの方に案内いただき、天守閣を目指して和歌山城を巡り歩きます。
さっそく出発しましょう。

和歌山城の石垣

和歌山城の石垣

和歌山城の特徴として、多種多様な種類の石垣が見られることが挙げられます。
これは築城から増改築を繰り返し、その時代時代の城主によって石の材質や積み方が異なるためです。

鶴の渓の石垣1 和歌山城

鶴の渓の石垣

こちらは城の西側の砂の丸にある鶴の渓(つるのたに)の石垣です。この石垣は上部と下部で2種類の異なる積み方で作られています。
下部は自然の石を加工せずに積み上げる「野面積み」という積み方で、豊臣秀吉と彼により城代に任命された桑山重晴の時代に作られたとされます。
一方で、上部の工法は石を加工して積むことで野面積みより石と石との隙間を少なくした「打ち込みハギ」です。こちらは紀州藩主となった浅野氏によって築かれました。
和歌山城が多くの城主の手により作り上げられたことを物語る興味深い遺構ですね。

石垣の刻印 石垣の刻印の開設

石垣の刻印

石垣のなかでも特に浅野氏の時代ものは様々な刻印が刻まれていることが特徴です。
刻印の目的は石の所有権を示すためや魔除けなど諸説あります。
〇や□などのシンプルなものから、文字や家紋のような文様など約40種類の刻印が城の各所の石垣に見られます。
城内を散策の際はどんな刻印があるか探してみるのも楽しいかもしれません。

追廻門

追廻門

砂の丸でもひときわ目を引くのが「追廻門」と呼ばれる赤い門です。この門の外にはかつて馬場があり、そこで馬を追い回していたことが名前の由来です。紀州徳川家の開祖である徳川頼宣による城郭の拡張の際に建てられました。
門が立つ方角が南西の「裏鬼門」となっているため魔除けのため、このように赤く塗られたのではないかと考えられています。

西之丸庭園の入り口

名勝・西之丸庭園

砂の丸を抜け、西の丸までやってきました。
ここには徳川頼宣が作った「西之丸庭園(紅葉渓庭園)」があります。江戸初期に作庭された大名庭園で、昭和48年(1973年)に国の名勝に指定されました。

西之丸庭園の風景

庭園内は和歌山城が立つ虎伏山の起伏のある地形を生かしており、高低差による変化に富んだ景観が楽しめます。

西之丸庭園の池

こちらの池は頼宣の和歌山城入城前に浅野氏が築いた内堀の一部を取り入れています。
西之丸庭園は「紅葉渓庭園」とも呼ばれ、例年の11月~12月上旬には池の周りを紅葉が彩り、趣のある風景を楽しめます。

御渡廊下

御渡廊下

西の丸は庭園のほか、かつては能舞台や窯などがあり藩主が風雅を楽しむ場所でした。
藩の政治や藩主の生活の場であって二の丸とは、こちらの「御渡廊下」と呼ばれる橋で結ばれており江戸時代は藩主とお付きの者だけが通れたそうです。
両岸の石垣に高低差があるため、傾斜のある造りとなっており全国でも珍しい橋となっています。

御渡廊下の解説 御渡廊下の礎石

現在の御渡廊下の建物は発掘された当時の礎石と江戸時代の図面をもとに平成18年(2006年)に復元されたものです。当時の橋に使われた礎石は西之丸庭園で見ることができます。

御渡廊下の内観

御渡廊下は靴を脱いで中を通ることができます。傾斜になっていますが、床板に凹凸があり滑らないように工夫がされています。足裏のギザギザした感触は健康サンダルを履いている気分です(笑)

二の丸

西の丸から二の丸へ

御渡廊下を渡って二の丸に到着です。
二の丸にはかつては政治や行事、藩主の生活の場として表・中奥・大奥に分かれた御殿がありました。
浅野氏の時代は天守閣のある本丸に御殿が作られ、日常生活の場所となっていました。しかし、山の上にあり不便で手狭だったことから、江戸初期に徳川家が藩主になって以降、二の丸に生活と政治の拠点が移されたそうです。

二の丸

表の御殿はその後1885年(明治18年)に大阪城内に移築されましたが、残念ながら太平洋戦争の空襲により消失してしまいました。
現在の二の丸は公園となっており、和歌山市民の憩いの場となっています。

大手門

大手門

二の丸の石垣からは城の北側に立つ大手門が見下ろせます。浅野幸長による大規模な城郭拡張工事の際に建設され、この門に面する本町通りを中心として城下町が整備されました。
江戸時代はここが和歌山城の正面入り口でした。

岡口門

重要文化財 岡口門

二の丸を後にして城の南東に進むと「岡口門」が見えてきます。築城から浅野氏の時代の途中まではこちらが和歌山城の大手門とされていました。
和歌山城は度重なる火災や戦災により天守閣などの焼失に見舞われましたが、幸いにもこの岡口門は空襲を免れた貴重な遺構です。現在の建物は元和7年(1621年)に建てられたもので国の重要文化財に指定されています。

表坂

いざ天守閣へ

いよいよ天守閣のある本丸へ向かいましょう。今回は表坂から登っていきます。

表坂の石段

つづら折りになった石段が続きます。横にスロープが用意されているので、足の不自由な方やベビーカーを利用される方でも安心です。

紀州青石

石段には紀州青石と呼ばれる緑色の石が使われています。この石は和歌山城の石垣や西之丸庭園の庭石にも利用されています。
紀州青石は水で濡れるとその青みが増すことから、安土桃山時代以降に庭石として珍重され、東京都文京区にある六義園でも使用されました。雨の日は和歌山城の石垣も石が濡れることで青さが際立つので、晴れの日と違った趣きが楽しめるそうです。

七福の庭

七福の庭

表坂から石段を登って松の丸までやってきました。
ここには本丸御殿から移築された「七福の庭」があります。徳川頼宣が藩の繁栄を願い、七福神をかたどった石を集めて宝船に見立てて作庭されました。
どの石がどの神様かイメージしながら眺めてみてください。

和歌山城公園動物

お城の中に動物園?

松の丸から石垣の下を見下ろすと、周りとは一風変わった風景が見られます。
ここ「和歌山城公園動物園」は全国でも珍しい城の敷地にある動物園です。クマやペンギン、ヤギなどが見られる「童話園」と様々な水鳥が見られる「水禽園」に分かれており、入場料は無料です。
また、和歌山原産の天然記念物「紀州犬」や様々な動物たちとのふれあい体験が楽しめるコーナーもあるのでお子様連れの方におすすめです。

本丸御殿跡

本丸御殿跡

松の丸からさらに石段を上がって本丸御殿跡に到着です。豊臣秀吉から浅野氏の時代にかけてはここが城の拠点とされました。
江戸時代以降は徳川頼宣と14代藩主の茂承が居住した他は、謁見などの儀礼の場所として使用されていたそうです。

展望台

展望台で集合写真

本丸御殿跡には天守閣が一望できる展望台が併設されています。ここからは大天守がバッチリ見えるので天守閣を見学する前にここでの記念撮影がおすすめです。

天守閣

天守閣に到着!

ついに天守閣にたどり着きました。
和歌山城の天守閣は浅野幸長によって築かれた「連立式天守」で、中庭を囲むように渡櫓で連結された大小2つの天守と2棟の櫓で構成されています。当初は板張りの黒い天守閣でしたが、10代藩主の徳川治宝の時代に現在の白壁に改築されました。
弘化3年(1846年)に落雷により天守が焼失、嘉永3年(1850)に再建されたものの、昭和20年(1945年)の和歌山大空襲で岡口門など一部を除いての天守や門などが焼失してしまいました。
現在の天守閣は和歌山市民の要望により昭和33年(1958年)に鉄筋コンクリート造で再建されたものです。

大天守

大天守

天守閣でも特に大天守は面白い構造をした建物です。真下から見てみましょう。1階と2階で屋根や窓が平行に揃っていないところがあることに気づきましたでしょうか。これは天守が建てられた土台(天守台)が正方形でなくひし形となっているおり、1階部分が天守台に合わせた形となっているためです。
そのため大天守はひし形の1階部分と正方形の2・3階を組み合わせた非常に複雑な構造の建物になっています。

楠門

城内を見学

和歌山城の天守閣は大人は410円、小・中学生は200円で入場できます。
では、大天守の頂上を目指して城内の見学に行きましょう。

ハート形の敷石

意外な見どころを発見!

門をくぐると何やら不思議な形の玉砂利がありました。
石段を上がって少し離れてみると・・・

ハート形の敷石

意外な見どころを発見!

綺麗なハート形をしていました。ここから見ると手すりがキューピッドの矢のようで、とても可愛らしいですね。

白虎像

城内は展示室となっており、和歌山城歴代の城主ゆかりの品々が展示されています。

大天守頂上

展示物を眺めながら階段を登り大天守の最上階に到着です。

大天守からの眺め 大天守からの眺め

和歌山の街並みを一望できます!

和歌山城大天守からの眺望です。先ほど城をバックに記念撮影をした本丸御殿跡と展望台がここからもよく見えます。さらに東に目をやると城を囲む櫓越しに紀の川の河口と和歌山湾が見渡せます。

天守閣外観

今回は和歌山城をご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。
安土桃山時代から江戸時代にかけ多くの武将の手を渡り、変化を繰り返してきた和歌山城は石垣や城門、庭園など見どころが満載の観光スポットです。
和歌山観光の際は和歌山城に是非お越しください。

基本情報

住所 和歌山県和歌山市一番丁3番地
営業時間 天守閣 9:00~17:30(最終入場17:00まで)
西之丸庭園 9:00~17:00(最終入場16:45まで)
定休日 12月29日~12月31日
駐車場 あり(有料) 自家用車58台収容可